同一の対象に対して、愛情と憎しみなど対極的な情緒や態度を示す心的体験を両価性/アンビバレンスという。ブロイアーは今日でいう統合失調症の心性をあらわす語として用いたが、フロイトは神経症や正常な人の情緒のあり方にも使用範囲を広げ、いまでも後者の用い方が一般化している。
第一次世界大戦によってヨーロッパが壊滅的な破壊を経験されたのを目撃したフロイトは、なぜ人間が自らの種族保存に不利なはずの戦争のような行為をおこなうのか、ということに興味を持った。その結論として1920年、『快原理の彼岸』(旧訳語では『快楽原則の彼岸』。)において、それまでの性の本能・自己保存本能の二元論から、生の本能(エロス:Eros)・死の本能(タナトス:Thanatos)の二元論へと転回した。
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きゅうりちゃんのブログ
人間を含め生物はすべて、生の本能によっていっけん物事を作り出し、建設していくかにみえるが、その深層はつねに、それをぶち壊し無に回帰していこうとする死の本能に裏打ちされている。人間という種においては、いわゆる文明が、人間を人間たらしめる創造と破壊の対象である。
臨床的には、死の本能は反復強迫、陰性の治療反応、道徳的マゾヒズムなどのかたちで現れる。